琉球大学 研究推進機構 戦略的研究プロジェクトセンター
とんがり研究:外来生物

辻 瑞樹 教授 つじ みずき

農学部 亜熱帯農林環境科学科

生態環境科学分野

琉球大学博物館(風樹館)館長(併任)

外来生物・気候変動 〜変わり続ける自然環境だからこそできる先端研究

 名古屋大学の学生時代から,昆虫類を材料とした生態学や行動学全般の研究を進めてきました.アリなどにみられる,繁殖する女王と繁殖しないワーカーという分業を示す昆虫を社会性昆虫といいます.現在,特にその社会性昆虫が持つ驚くべき能力と多様性に焦点を当てた研究を進めています.理論的研究も多くおこなってきましたが,私自身,数学は大の苦手で厳密な計算は仲間の力に大部分頼っています.

 農学部で学生を指導するほかに,琉球大学博物館(風樹館)館長も務めています.博物館職員やボランティアのみなさんとともに沖縄の生物多様性研究の拠点として,さらなる発展を目指しています.

 名古屋出身の元昆虫少年で,学生時代から様々な昆虫を求めて沖縄に良く来ていました.なお,「辻 和希(つじ かずき)」は論文著作等で使うペンネームで,本名は「辻 瑞樹(つじ みずき)」です.

このプロジェクトで目指すこと

 沖縄はアリに限らず外来生物侵入の最前線です.さらに,外来生物の侵入や気候変動による環境変化は,実は生物進化を直接観測する機会を提供しています.

 そこで,このプロジェクトでは,害虫から天然記念物に至る沖縄の野生生物に注目し,多面的に研究を展開していく予定です.

 特に「派手な翔色をもつ外来種のチョウによって在来チョウの翔色に変化が起きている」「外来アリが多い沖縄で何故やんばるの森林には外来アリがいない」……といった生物の進化や保全に関連する分野の研究を進めていきます.

写真:フタオチョウ.沖縄県の天然記念物です.

【撮影:辻 和希】

主な論文

Dobata S, Tsuji K (2013)  Public goods dilemma in asexual ant societies.  Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 110: 16056–16060.(アリにおける公共財のジレンマ)

Tsuji K, Kikuta N, Kikuchi T (2012)  Determination of the cost of worker reproduction via diminished lifespan in the ant Diacamma sp.  Evolution, 66: 1322–1331. (アリも過労で早死にする:トゲオオハリアリにおけるワーカー産卵のコスト)

Matsuura K, Vargo EL, Kawatsu K, Labadie PE, Nakano H, Yashiro T. Tsuji K (2009) Queen succession through asexual reproduction in termites.  Science, 323: 1687.(シロアリ女王のクローンの跡継ぎ:私が死んでもかわりがいるもの)

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